まつりのあと

一心不乱にヲタ技を繰り出す人を思い出して泣きかけた。
ヲタ芸で泣ける日が来るなんて思わなかった。
      
終演後に、涙を浮かべて席を立とうとしない人を見て泣きかけた。
俺自身が全く悲しくないのが悲しかった。    
     
最後に最前列で頑張っていた君、君を見て俺は泣きかけた。
やっぱりみんな君を愛してるよ。
     
会場の外に出てみると雪は降っていなかった。
     
悲しみは雪のように降り積もらない。
そうだ、本当に悲しい時には何も無いのだ。
          
何も無く、ただ悲しいだけなのだ。